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白くまオヤジとまっ赤なアルファ
風体の上がらぬ白髪頭の40オヤジが手に入れたのは、なんとまっ赤なアルファロメオだった。ちょっと古いラテン車好きがアルファ147と繰り広げるドタバタ奮闘記。
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白くまオヤジの戯言インプレ


ここで紹介する試乗記は、個人的な感想を綴ったものです。あくまでも専門家の評価ではありません。商品開発のためにテストした、あるいはオーナーさんの好意で試乗させて頂いた、など。それらの際にメモを取り、まとめた物です。コーヒーブレイク(!?)といった感じで、お付き合いしてもらえるとうれしいです。


ALFA 147 GTA
※2003年5月試乗





トルク・ステアが如実に顔を出し、暴れるステアリングを押さえ付けながらスロットル・ペダルを踏んでいくと、あっという間に1速はレッド・ゾーンに。クラッチを蹴るようにして2速に叩き込む。まだクルマが暴れる。そして3速。リミッターはかなり大げさに働く。ランエボやインプレッサといった国産280馬力軍団のごとくカミソリのような切れ味鋭い加速ではないものの、公道で楽しむ分には十分なパフォーマンスだ。


シンクロもテスト車両はやや3速が弱っているとは言いながらまずまずの働き。それにトルク&パワー特性も、お世辞にも低回転でのトルクが太いとは言えず、負荷が掛かった時の息遣いも少々心許なく感じられるが、上手くエレクトリック・デバイスで制御していると感じる。また回転フィールも未だ荒々しい鼓動が伝わってくるもの。しかし、これはどう考えても演出だと考えられる。スムーズに仕上げられるハズなのに、あえてそうしないのである。





コーナーが見る見る迫ってくる。軽いブレーキング。ブレンボ製のキャリパーが奢られているとはいうものの、それほど期待していなかった(ブレンボといってもピンからキリまである)のだが、少々オーバー・アシスト気味ながら必要十分な制動力である。


ただASRがON(いわゆるトラクション・コントロール)だと、この状態でいきなり制御が入る。VDCも同様(さらにMSR、ABS、EBD、エトセトラエトセトラ……)。構わずブレーキを残しながらステアリングを切り込んでいくと、フロントが重いゆえにアンダー・ステア傾向を示しながらも、ある時期を境にオーバー・ステアに転じリアが流れ出す。ステアリングの舵角はそのまま。リアが流れてフロントが出口を向くまで1、2、3とゆっくり待つ。


クリッピング・ポイントを舐めてスロットル・オン。トラクションが掛からずホイール・スピン過多に加え、プッシング・アンダーも顕著ゆえに慎重に踏む必要があり、ここでもフロント・ヘビーのバランスの悪さを痛感する。スポーツLSDが欲しい。


というよりFWDでこのパワーは無理があるのではなかろうか。一昔前ならレーシングカーの世界である。ガチガチにボディを補強してスリック・タイヤを履いて、という。正直言ってこのシャシーでは制御し切れていない、というのが本音である。


それではASRをOFFにしてみるとどうだろう? 同じように3速で回るコーナーを例に採ってみると、進入から立ち上がりまでドタバタしっ放し。加えてオーバー・ステアに転じてからのリアの流れも早く、場合によっては90度以上カウンター側にステアする必要が生じる。ホイールベースや重量配分の関係か、それとも個体差なのか、本質は同類ながらもう少しジェントルな印象だった156GTAとは対照的である。


ちなみにリアが流れ始める速度域も低く、一見すると国産車と比較して限界が低いと感じられるかもしれない。ただ、実はリアが流れてもそこが限界ではなく、流れ出してからもコントロールが利き、その部分も含めてセッティングしてある、ということなのだ。


それにいくら技術が進歩したとはいえ、限界を超えて一気に流れるのをアシストすることはやはり難しく、わざと早めに流れ出すようなセッティングにしておいて、それをエレクトリック・デバイスで上手くコントロールしてあげよう、というのが本当のところではなかろうか。


多少設定している速度域が異なるのは否めないし、ドライバーにスキルを要求してくることも確か。それにエレクトリック・デバイスに頼り過ぎている嫌いもあり、さらに言えば同じラテン系のクルマでもプジョーほど巧妙ではない、というのが正直な印象である。


足グルマと趣味車の融合


テスト・コースを後にし市街地を走る。クラッチは同じ250馬力&3.2L-V6を搭載するゴルフR32やアウディA3 3・2といったライバルたち(油圧でアシストされ驚くほど軽い)と較べると多少重く、長い渋滞が続いた場合、女性や年配の方だと辛いと感じる人も出てくるかもしれない。しかし正常に整備されている限り動きもスムーズで不当ではない重さである。それにスロットルを踏まずクラッチのリリースだけで簡単にミート可能であり、600回転前後で繋いでもジャダーは出ない。


加えてこの手のクルマの性格上、オイルに無関心ではいられないものの、シフトは節度感のあるフィーリングで、シンクロもシッカリ機能し、リンケージ類の精度もまずまずと感じる。個人的にはシフト・ノブはもう少し小振りの方が操作しやすいのだけれど……。


RECARO製のスポーツ・シートもタップリとしたサイズを持ち、前後/上下/背もたれのリクライニングといった調整が可能で、ワンタッチでリア・シートに乗り込めるように背もたれがパタンと前に倒れる機能が備わる。ただ、身長170㎝のワタシには多少大柄で、シフト・ノブ同様ブカブカのジャケットを着ているよう(これはあくまでも体型の問題なので参考程度に)な感覚である。


それにBMWのようにシート先端が足の長さに応じて調整出来ないゆえ、シートが膝裏を圧迫し、ペダル捌きに違和感を伴ってしまうのが残念といえば残念。さらにシート座面の前後の高さを任意に調整出来ないこともあり、お尻と背もたれでバランスよく体重を預けるようにシート座面を調整すると、どうしても一番下のポジションにしなければならず、そうすることによって目線が低く視界が狭まり、小さくて視認性の悪いドア・ミラーとも相俟って、後方あるいは右斜め後方の視界が悪くなるといった弊害も加わる。


特にリア・シートにも三人分のヘッド・レストが備わることが仇となり、ワタシと同じような体型の人たちは、慣れるまでは車線変更や料金所では十分気を付けた方がいいかもしれない。やはりこういったモデルでも、日本で乗る分には右ハンドル仕様が欲しいと痛感する。


乗り心地は想像していた物とは異なり、かなり上出来の部類に入る。これも個人差があるので一概には言えないものの、アルファ156GTAよりさらにマイルドな味付けがなされていると感じる。ナックル・アームやサス・アーム類は同じGTAということで共通だろうが、スプリング・レートの設定、ダンパーの減衰力及びセッティング、スタビライザーのセッティングといったものが異なっていると思われる。


高速道路や工事現場などの道路の繋ぎ目を通過する際の、強く急な入力に対しても不快な突き上げは少なく、これなら普段のアシとしても十分使えると考えられる。そう、同乗の家族からも不満の声は上がらないのではなかろうか。


ラバー・ブッシュ類の材質も剛性感と柔軟性のバランスが取れたものであり、多少ドライバーが行なった操作に遅れて付いてくる感覚が伴うものの、公道用スポーツカーと考えると妥当な選択だと思う。またダンパーの初期動作が秀逸であり、フリクション自体も減らされているよう(プッシュロッド表面がスムーズでそれを受けるOリングの精度も高い)。ある程度サスを固めながらも乗り心地が損なわれていないというのは、実はそういった理由なのであった。


ただ、せっかくならもう少しダンパーの直径を大きくするなど、容量を増やして欲しかったというのが正直なところ。たとえば全開走行した場合、この程度のキャパシティでは30分も走らない内に本来の性能を維持出来なくなってしまうに違いない。


それにロール軸が前下がりの上、さらにフロントのロールセンターを重心から遠ざけ、低い位置に設定してしまったために、ステアリングの切り初めの反応はいいものの、そこからスムーズにコーナリング・フォースが立ち上がっていかない、という傾向は未だ残っており、太いタイヤ&固められたサスによってかなりオブラートに包まれ、普通に走る分にはクイックで小気味良く、ニュートラル・ステアに感じるかもしれないものの、これはセッティングの妙であり、抜本的な改良にはなっていないのは残念なところ。


またサス剛性もそれほど高いとは感じられず、225/45ZR17というサイズのタイヤを受け止められず、ドタバタしているのも興醒め、である。乗り心地とロードホールディング、この相反する項目を高い次元でバランスさせていると感じる147GTAだけに、この点も残念である。


もしワタシがオーナーとなったならば、もう少し細いタイヤに履き替えるだろう。街乗りでのアシ+たまのワインディング走行、といった使い方なら、その方さらに乗り心地が良くなる上に、いく分燃費や最高速度も向上するはず。それに何より、もっとヨーのコントロールを楽しめると思う。つまりタイヤの性能に頼ったグリップ走行に撤するのではなく、たとえFWDといえどもコーナー手前からリアを動かし、パワー・スライドで立ち上がる、なんて楽しみ方も可能となってくるワケである。しかも絶対的な性能が下がるので安全な速度域で……。


内装のクォリティは年を重ねるごとに良くなっていると感じる。一時期のT車には及ばないものの、このクラスともなるとそれなりに高級感を演出するのが一般的になったということだろう。立て付けは相変わらず(テスト車両はすでに5000㎞を後にし、かなり酷使された状態で、プラスチック・パーツが干渉して多少音が出ていた)だが、表面塗装も落ち着きがあり、新車から4~5年はまずまずのレベルをキープしそうである。また各部のスイッチ類やレバー類の操作感も及第点で、今やイタ車だからといって内装パーツが弱々しいといった印象はなくなったと言っていい。


パワー・ウィンドウも合格。ただ、テスト車両は左右同時に操作すると力が弱まる感じで、バッテリー管理は徹底しておいた方がいいかもしれない。たとえばバッテリーが弱まると電波が正常に飛ばなくなり、セキュリティが誤作動する、ドア・ロックの開閉が出来ない、エンジン・スタートが出来ない、といった症状が出る可能性がある、ということ。アルファ156の際は一旦セキュリティを解除した上で、緊急用プログラムを施した経験があるので、アルファ147も同様の処置をしなければならないかもしれない。


メーターは少々見辛いと言わざるをえないだろう。カッコは良いものの、日差しの関係で全く見えなくなる角度がある。「それほど常時メーターを見る必要はない」と言われればその通りなのだが、やはり不安感がつきまとう。それにブラック地にレッドに光る文字も子供じみており、他に方法はなかったのだろうか、というのが正直なところ(VWのブルー系よりは百万倍マシではあるのだけれど)。


一時懸念されたオーバーヒートも、正常に機能している限り問題ないようである。水温計の針は90度を示し微動だにしない。これは温度を正直に伝えるよりも、国産車のように何か異常が発生した時にだけ動いて注意を促す、といった方向にヨーロッパ車も変わってきているのだと思う。個人的にはその水温に合わせて運転の仕方を変えるという習慣が身に付いているので、動かない針というのは逆に不安なのだが、これも時代の流れなのかもしれない。


また炎天下の中、数時間に渡り事故渋滞にハマった際、わざとエアコンを掛けっ放しにしてみたのだが、これでも全く問題なし。発熱量の多いV6エンジン搭載に伴いエジエター容量(コア増し)が増やされ、オイル・クーラーも増設されているゆえに、この程度のストレスには全く動じないようである。


ちなみに燃費は、ワインディングを走った時が7・2㎞/L、高速道路を100㎞/h巡航した時が11・2㎞/L、都市部での渋滞の中で走った時が6・4㎞/Lというもの。全行程の平均値は7・1㎞/Lであった。3・2Lの250馬力エンジンを搭載するスポーツ・モデルと考えると妥当なセンながら、もう少し伸びて欲しいというのが本音である。


公道で楽しむ大人のアイテム


さて『GTA』のネーミングを冠したアルファ147をどう受け止めたらいいのだろう。技術者の観点で評価すれば、あまり基本設計の良くないシャシーにパワフルなエンジンを押し込み、太いタイヤを履きサスを固め、さらに無理矢理エレクトリック・デバイスで辻褄を合わせている、ということになろう。それに絶対的な速さだって国産の高性能車に慣れた人たちには少々拍子抜けするものであり、口さがない連中からは「ブランド・イメージだけで中身がない!」と言われかねない状況である。


しかし、個人的には公道で楽しむ大人のアイテムと考えた場合、この程度がほど良いバランスなのでは、と感じる。惜しむらくは掛かる費用だろうか。特別なポジションにあるクルマゆえにリセールバリューは期待出来るだろうから、それほど見掛けの数字にこだわる必要はないものの、あと20%安ければ、というのが本音である。


果たして、乗り心地とロードホールディングの両立、刺激的な演出が成されたエンジン、少しづつでも向上している品質、そしてメーカー自らが『GTA』のネーミングを冠したという重要性。やはりアルファ147GTAはクルマ好きにとって捨て置けない存在だと感じる。そしてそれらを全て理解した上で、アルファロメオのある生活を楽しむのが粋な『大人のクルマ遊び』というものではなかろうか。






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プロフィール

白くまオヤジ

Author:白くまオヤジ
はじめまして、ちょっと古いラテン車に目がない白くまオヤジです。自動車業界の裏方をやってます。ちなみに車歴はミニ・クーパー、ルノー5、リトモ130TC、VWゴルフ2、ビアンキ・アバルトなどです。

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